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寝起きは最悪だったものの、
さぼるわけにもいかず重たい体を引きずりながら学校へ向かった。
「お早う。」
彼の声がした。
心なしか少し怒っているような。
「なんで、置いていくわけ。」
やはり怒っていたか。
いつもは一緒に登校するのだが、
今日は誘いに行く気になれなかったのだ。
「ごめん。」
「謝れとは言ってない、なんで、って訊いてるんだけど。」
ぴしゃりと言い放った。
「あんたのせいで寝不足なの、迎えに行く気なんてしなかったの。」
だるそうに言ってやった。
実際だるかった。
「勝手だなあ。」
どっちがだ!
思わず怒鳴りそうになる衝動をかろうじて抑える。
「朝から痴話喧嘩?」
その時、気の抜けるような声がした。
中里芽依(めい)だ。
女のような名前だが、れっきとした男である。
「痴話喧嘩って、付き合ってる男女がするものだろう。」
耀司は真面目だった。
あまり冗談が通じないほうなのだろう。
「あれ、付き合ってないの?」
芽依は知っているくせにからかって言った。
相変わらず軽薄な声だ。
こいつの言うことはあまり気にしないようにしている。
「こら芽依。」
また別の声。
芽依の彼女、西園寺小春だ。
「そういうこと言う?」
呆れる小春にふにゃりと笑いながら謝る芽依。
その光景は実に微笑ましかった。
小春は小柄で活発な少女だ。
目が大きくて、口角が上がり、可愛らしい。
長身で細身の、
これまた可愛らしい顔をしている芽依とお似合いだ。
二人を見ていると自然に笑顔になる。
しかし耀司は冷たい目で二人を見ていた。
何故かはよくわからなかった。
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