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第四話




寝起きは最悪だったものの、
さぼるわけにもいかず重たい体を引きずりながら学校へ向かった。

「お早う。」

彼の声がした。
心なしか少し怒っているような。

「なんで、置いていくわけ。」

やはり怒っていたか。
いつもは一緒に登校するのだが、
今日は誘いに行く気になれなかったのだ。

「ごめん。」

「謝れとは言ってない、なんで、って訊いてるんだけど。」

ぴしゃりと言い放った。

「あんたのせいで寝不足なの、迎えに行く気なんてしなかったの。」

だるそうに言ってやった。
実際だるかった。

「勝手だなあ。」

どっちがだ!
思わず怒鳴りそうになる衝動をかろうじて抑える。

「朝から痴話喧嘩?」

その時、気の抜けるような声がした。
中里芽依(めい)だ。
女のような名前だが、れっきとした男である。

「痴話喧嘩って、付き合ってる男女がするものだろう。」

耀司は真面目だった。
あまり冗談が通じないほうなのだろう。

「あれ、付き合ってないの?」

芽依は知っているくせにからかって言った。
相変わらず軽薄な声だ。
こいつの言うことはあまり気にしないようにしている。

「こら芽依。」

また別の声。
芽依の彼女、西園寺小春だ。

「そういうこと言う?」

呆れる小春にふにゃりと笑いながら謝る芽依。
その光景は実に微笑ましかった。

小春は小柄で活発な少女だ。
目が大きくて、口角が上がり、可愛らしい。
長身で細身の、
これまた可愛らしい顔をしている芽依とお似合いだ。

二人を見ていると自然に笑顔になる。
しかし耀司は冷たい目で二人を見ていた。
何故かはよくわからなかった。



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