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第五話




そのまま四人で登校した。

耀司はずっと黙っていた。
何かを考えている様子ではなかった。
ただ、歩いていた。

学校に着き、心配になった私は彼に話しかけてみた。

「耀司。」

彼は、頬杖をついて窓の外を見ていた。
私の声に気づいたようでこちらを見上げた。

「なに。」

彼はいつもと何ら変わりは無かった。
私は安心した。

「いや、やっぱいい。」

ふうん、と言うとまた窓の外を見た。
しかし何かを思い出したようにすぐにまた私を見た。

「なあ、あれ見て。」

彼は窓の外を指差した。そこには一組のカップルが居た。
女子のほうは知り合いだ。
とてもいい子だと、思う。

「あの二人がどうしたの。」

「幸せそうに見えるだろ。」

彼は楽しそうに言った。
しかし彼の言い方には違和感があった。

「幸せなんでしょう。」

ガラス越しに笑いあう二人が居た。
これが幸せに見えない奴はいないだろう。

「女のほう、浮気してるって。」

誰かに聞いたような言い方だったが、
静かに、しかし力強くそう言った。

私はは嘘だ、と言った。
実際信じることは出来なかった。

「本当だよ、だって、紅(べに)が言ってたんだからね。」

紅とは、耀司が言うには「喋るカラス」らしい。
馬鹿な話だとは思うが、
耀司が言うなら存在するんじゃないかなあ、とも思っていた。

ちなみに私はまだ会ったことは無い。

「きっと、足りないんだろうね。」

何が?と訊きかけてやめた。
耀司がまるで自分のことを言うように言ったから。

「あ、そうだそうだ。」

彼は私が少しショックを受けているのを見て
気を使ったのかどうかは不明だが、
明るい口調で言った。

しかし、何というか、わけが解らなかった。

「空ってさ、青色だろう、じゃあさ、青じゃなかったら何色がいい?」

私はまた、まぬけな声を出してしまった。
空に重たそうな灰色の雲が重なり、雨が降り始めた。

そういえば、傘持ってきてないなあ。



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