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そのまま四人で登校した。
耀司はずっと黙っていた。
何かを考えている様子ではなかった。
ただ、歩いていた。
学校に着き、心配になった私は彼に話しかけてみた。
「耀司。」
彼は、頬杖をついて窓の外を見ていた。
私の声に気づいたようでこちらを見上げた。
「なに。」
彼はいつもと何ら変わりは無かった。
私は安心した。
「いや、やっぱいい。」
ふうん、と言うとまた窓の外を見た。
しかし何かを思い出したようにすぐにまた私を見た。
「なあ、あれ見て。」
彼は窓の外を指差した。そこには一組のカップルが居た。
女子のほうは知り合いだ。
とてもいい子だと、思う。
「あの二人がどうしたの。」
「幸せそうに見えるだろ。」
彼は楽しそうに言った。
しかし彼の言い方には違和感があった。
「幸せなんでしょう。」
ガラス越しに笑いあう二人が居た。
これが幸せに見えない奴はいないだろう。
「女のほう、浮気してるって。」
誰かに聞いたような言い方だったが、
静かに、しかし力強くそう言った。
私はは嘘だ、と言った。
実際信じることは出来なかった。
「本当だよ、だって、紅(べに)が言ってたんだからね。」
紅とは、耀司が言うには「喋るカラス」らしい。
馬鹿な話だとは思うが、
耀司が言うなら存在するんじゃないかなあ、とも思っていた。
ちなみに私はまだ会ったことは無い。
「きっと、足りないんだろうね。」
何が?と訊きかけてやめた。
耀司がまるで自分のことを言うように言ったから。
「あ、そうだそうだ。」
彼は私が少しショックを受けているのを見て
気を使ったのかどうかは不明だが、
明るい口調で言った。
しかし、何というか、わけが解らなかった。
「空ってさ、青色だろう、じゃあさ、青じゃなかったら何色がいい?」
私はまた、まぬけな声を出してしまった。
空に重たそうな灰色の雲が重なり、雨が降り始めた。
そういえば、傘持ってきてないなあ。
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