[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「耀司?」
母の声は冷たく、小さな耀司の体にひやりと纏わりついた。
「何してるの、耀司、誰と喋ってたの。」
暗くて顔はよく見えないが、
声から無表情を感じ取ることができた。
不安や、憤怒も感じられたような気がした。
「トイレに、行こうと、思って。」
変な汗をかきながら、震える声でそう言った。
すると声に感情が戻った。
安堵の溜息をついた。
「そう、じゃあ、早く寝るのよ。」
母は本当に安心したらしく、すぐに寝息を立て始めた。
耀司もまた、安堵の溜息をついた。
そして今度は聞こえるか聞こえないかの小さな声で喋った。
「お母さん、かわいそうだろ。」
カラスも耀司の真似をして、小さな声で喋った。
「そうですね、けど、」
「けど、何?」
カラスは言うかどうか迷っているようだった。
「もしかして、予言とかできるわけ?」
少し興奮したようで、声が先ほどより大きくなっていた。
カラスは少し考えたようだったが、黙ってしまった。
「まあ、いいや。」
耀司は、このカラスには未来が見えるのだと勝手に納得した。
予測ではあったが、確信していた。
「そうだ、名前を付けていい?」
カラスは頷いた。
微笑んだようにも見えた。
「紅。」
「立派な名前ですね、どうしてですか?」
「俺の好きな色、だよ。」
| ≪ 第十二話 | | HOME | | 第十話 ≫ |