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第十一話




「耀司?」

母の声は冷たく、小さな耀司の体にひやりと纏わりついた。

「何してるの、耀司、誰と喋ってたの。」

暗くて顔はよく見えないが、
声から無表情を感じ取ることができた。
不安や、憤怒も感じられたような気がした。

「トイレに、行こうと、思って。」

変な汗をかきながら、震える声でそう言った。
すると声に感情が戻った。
安堵の溜息をついた。

「そう、じゃあ、早く寝るのよ。」

母は本当に安心したらしく、すぐに寝息を立て始めた。
耀司もまた、安堵の溜息をついた。
そして今度は聞こえるか聞こえないかの小さな声で喋った。

「お母さん、かわいそうだろ。」

カラスも耀司の真似をして、小さな声で喋った。

「そうですね、けど、」

「けど、何?」

カラスは言うかどうか迷っているようだった。

「もしかして、予言とかできるわけ?」

少し興奮したようで、声が先ほどより大きくなっていた。
カラスは少し考えたようだったが、黙ってしまった。

「まあ、いいや。」

耀司は、このカラスには未来が見えるのだと勝手に納得した。
予測ではあったが、確信していた。

「そうだ、名前を付けていい?」

カラスは頷いた。
微笑んだようにも見えた。

「紅。」

「立派な名前ですね、どうしてですか?」

「俺の好きな色、だよ。」



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