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第六話




いつの間にか寝ていた。
夢を見たような気がする。忘れたけど。

起きてみると、ぼんやり数学の教師の顔が見えた。

「よく眠れたか、北条。」

「あ、はい。」

寝起きだったため判断力が鈍っており、
質問に素直に答えてしまった。
教室中から含み笑いが聞こえてきた。

「まったく、しっかりしてくれよ・・・。」

教師は私の隣で堂々と眠る男子生徒にも少し目をやったが、
ばつの悪そうに目を逸らし、注意はしなかった。

面倒だったからではない、校長の息子だったからだ。

授業が終わると、
眠っていた隣の席の彼が目を覚ました。

髪の毛は寝癖なのかくせ毛なのか、
いつも無造作にはねていた。
制服の着こなしもだらしがない。

「お早う。」

最高に目つきの悪い彼に言ってみた。
彼はこちらを向いたが返事はしなかった。
それで良い。

「ここ、わかる?」

さきほどの授業で解らなかったところだ。
私より寝ていた彼に聞くのは少し変かもしれないが、
彼は少しの間教科書を睨み、何かぶつぶつ呟くと、
説明を始めてくれた。

やっぱりすごい。
感嘆した。

校長の息子である、鳴海孝平は実に聡明だ。

ルックスからか、不良だと囁かれているがそんなことはない。
ただ少し目つきが悪く、無口なだけだ。

「ありがとう。」

そう言うと、彼はまた眠る姿勢に入った。



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