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第二話




何が悲しくて深夜にたたき起こされ、
付き合ってもいない男の部屋のゴキブリ退治などしなければならないのか。

姿を現した「奴」に、あらかじめ丸めておいた
強度は十分であろう新聞紙を振り下ろす。

バチッ。

確実にしとめた感触であった。
私はそのまま新聞紙で「奴」をくるんで捨てた。

「さすが。」

彼は本当に感心しているようだ。
目を少し見開いて、小さく手を叩いている。

「何でこういうことをオンナノコにさせるかな。」

率直な意見を述べてみる。

「俺はゴキブリが嫌いだからね。仕方ないだろう。」

なぜか優越の響きさえあった。
彼はふふ、と笑った。そして雑巾をこちらによこした。

「そこ、拭いといてね。」

さきほど「奴」をしとめた時の体液が床に飛び散っている。

「何で私がこんなことまで・・・。」

私の心の叫びはいつの間にか声になっていたらしい。
彼がまったく納得できない返答をした。

「隣に住んでいるからね。」

お前の隣人は執事か何かか。
一人でツッコミを入れながらもせっせと床を拭いた。

「お茶、淹れようか。」

彼なりに気を使ってくれたのだろう。
しかし私は作業に夢中で返事するのを忘れていた。

「お茶いるのかって、訊いてるんだけど。」

顔を近づけて、明らかにイライラした声で言う。

近くで見るといっそう綺麗な顔をしている。
こういうのを端正なお顔立ち、と呼ぶのだろうか。
切れ長の目、長い睫毛、高い鼻、すべてのパーツが整っている。

美しい。
というより、妖艶、だろうか。
心底そう思う。

「ああ、頂きます。」

私は我にかえってそう言った。

「結構。」

彼は満足気に笑い、キッチンへと足を運んだ。



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